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小さいおうち

今日のおすすめは、中島京子『小さいおうち』(文春文庫)です。
昭和のはじめに田舎から上京し女中奉公に入ったタキは、
その家の奥様を慕い、あてがわれた小さな部屋を
心中で「終の棲家」と思い定め、平和な日々を送ります。

その日々に徐々に影を落としていくのが戦争です。
和やかな夕食の会話には、
この戦争はきっと回避されると希望的観測が語られます。
多くの人は戦争など起こらないはずと思いたがり、
そう思っているうちに戦渦に誰もが巻き込まれ、
いつの間にか焼け野原となり…。

東京に初めてあった空襲を経験した後、
山形に戻ったタキの回想には、
大空襲の詳細は描かれていません。
穏やかで楽しかった日々が中心に描かれているのに、
かえって戦争の悲惨さが深くしみこんできます。

そして、戦争が人をどう変えるかを、
奥様の恋愛事件にからむ青年を通して
私たちは十分に知ることになります。

イザベラ・バードと通訳のことを描いた『イトウの恋』と同様に、
過去と現在が交わる構成が本当によくできていると思います。
小説を読む楽しみを十分に味わえる1冊です。

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