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仏果を得ず

今日のおすすめは、三浦しをん『仏果を得ず』(双葉文庫)です。
文楽の舞台は人形遣いと義太夫を語る太夫、三味線でできていますが、
ここでの主人公は若き太夫、健です。

文楽には、わずかな金を手に入れるために人殺しをするなど、
どうしようもない人が出てきます。
しかし、どうしようもないからと言って
そういう人間の語りをしなければならない太夫が
まったく共感できないままでは観客に伝わる義太夫にはなりません。
若い健はそれができずに悩みますが、
さまざまな経験から登場人物の心情を理解し、
芸の上でも人間としても成長していきます。

著者の三浦しをんさんは小説もエッセイもどれもとてもうまくて、
読む者を楽しませずにはいられない作家です。
本書は物語ももちろん面白いのですが、もうひとつ楽しみがあります。
それは主人公の健が作品を理解していく過程で
当代の人気作家三浦しをんが
江戸時代の人気戯作者の意図を読み解いていくのを見る楽しみです。

真っ当に生きられない人の心をこんな風に理解できる人は
あまりいないのではないかと思います。

文楽にはまって10年の著者が文楽への愛を込めて書いた本書を読めば
きっと実際に見てみたくなると思いますが、
そんな方には『あやつられ文楽鑑賞』(双葉文庫)というエッセイも
おすすめです。


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